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あえてテッド・クルーズを推す

電子書籍とも洋書とも関係ない話題でブログのテーマとは外れるのですが、何やら妄想が止まりません。

20年前くらいでしたか、二大政党制について、どちらの政党になっても大して変わらないと言われていた時期があったように思います。なぜそうなるのかの説明としては中道層の獲得が選挙に勝つための条件となるので、左右の政党とも中道よりになっていくためとされていました。左右の有権者とも、どんどん中道よりになっていく支持政党を残念に思いつつも、その政党より他に支持する政党がないために不本意ながらも支持せざるを得ません。しかし、この不満が共和党の党内改革として目に見える形で表れたのがティーパーティ運動だったろうと思うのです。

名前こそ付いていませんが、民主党にも同様の現象が起きているのだと思います。バーニー・サンダース氏、ヒラリー・クリントン氏、マルコ・ルビオ氏、テッド・クルーズ氏と並べてみるとサンダース氏とクリントン氏の距離やルビオ氏とクルーズ氏の距離はクリントン氏とルビオ氏の距離よりも遠いように感じます。これは二大政党制というよりも4つの政党が2つずつペアになって争っているような印象すら受けます。

従来の考え方からいけば、勝つのは中道路線のクリントン氏かルビオ氏でしょう。しかし、民主党の支持者も共和党の支持者もそれでは不満なのだと思います。特に熱心な支持者ほど、より左のサンダース氏や、より右のクルーズ氏を支持するでしょう。勝つために仕方なく支持する候補より勝たせたい候補、地滑りを起こさせるような有権者の熱を掻き立てるのはサンダース氏やクルーズ氏なのだと思います。

もし私がアメリカの有権者ならサンダース氏に投票します。お花畑みたいな政策ですが、バーリントン市長時代(以前の記事訂正)の評判は上々でどこまでやれるのか是非見てみたい誘惑に駆られます。スキャンダルだらけのクリントン氏を相手にして個人攻撃しないところも好感が持てます。財源の裏づけを問われて増税に言及しているのも、選挙にとっては不利かも知れませんが正直ではあります。

ですが、サンダース氏の政策は共和党支持者はもとより民主党エスタブリッシュ層にも到底受け入れられそうにありません。個人的な好みはともかく、現実的な予想としては共和党右派は断固として拒否にまわり、政治は空転すると思います。では翻ってクルーズ氏についてはどうでしょう。クルーズ氏の支持基盤はティーパーティキリスト教右派と言われています。しかしこの二つの層はリベラル嫌いが共通しているだけで、同床異夢ではあります。ティーパーティについて以前に読んだ本で印象に残っているのは「ワシントンやニューヨークの連中が何でも判ったような顔をして、我々の生活に口出ししてくる」ことへの嫌悪感でした。市民的自由として、自分の身を自分で守ったり、好きな時に好きなように悪態をつきたいのです(トランプ氏の支持層はトランプ氏のこの点に魅力を感じているようです。個人的にはトランプ氏の票はいつかクルーズ氏に流れると思います。あるいは逆かもしれませんが)。リベラルから無教養とか白人至上主義者とか罵られようとこの点は譲れません。連邦政府の影響を抑え、州の自治を拡大したい。逆にキリスト教右派キリスト教的価値観を市民生活により反映させたいので、連邦政府の権限を教育や家族生活の面では拡大させたいと望むでしょう。クルーズ氏がどうするかはよくわかりません。支持層同士で喧嘩されても困るので、その辺はあいまいにしたままのほうが好都合だとも思います。

以前のエントリーでクルーズ氏は議会と大喧嘩するんじゃないかと書いたことがあります。大きな政府を掲げるサンダース氏の連邦議会が空転すればそれは失敗でしょうが、小さな政府を標榜するクルーズ氏の連邦議会が機能不全に陥っても、「連邦は駄目だ、これからは州の時代」と持っていければ、少なくともクルーズ氏の支持層は文句は言わないと思います。

左右両極の政治勢力が強くなるに従って(政治の分極化というらしいですが)、議会での対立が激しくなり、政治の行き詰まりが起きているようです。これを解消するには歴史的には外部の敵を作って戦争してみたり、好景気を煽って政治から意識を遠ざけるなどして国を一つにまとめることなどが行われてきたのですが、そうしょっちゅう戦争したりずっと好景気だったりは出来ません。逆に州の自治を拡大し、カリフォルニアやニューヨークは思いっきりリベラルに、テキサスやアラスカは好きなだけ保守的にやってもらい、連邦政府は調整役に回ることで国内の不満を抑えるやり方もあります。19世紀末からのプログレッシブの時代以降続いてきた連邦政府の権限拡大に逆行することになり、ある意味で建国当初の合衆国の姿に立ち返ることになりますが、合衆国憲法に精通するクルーズ氏ならこの任には最適なように思われます。

ただ、オーストリア=ハンガリー二重帝国のようにこの手の国家は国内の調整に手間取ることで戦争には弱くなります。日本を始め、まだまだアメリカの軍事力に頼っている国は多いので、アメリカにくっついている国としては正直微妙なところではありますが、合衆国の国内的にはクルーズ氏は一つの解となり得ると思う次第です。

追記

2月20日にサウスカロライナ州で共和党の予備選が行われました。結果は

トランプ氏 32.5%

ルビオ氏 22.5%

クルーズ氏 22.3%

ブッシュ氏 7.8%

ケーシック氏 7.6%

カーソン氏 7.2%

となり、トランプ氏が勝利しました。勝者総取りのルールなので、トランプ氏は44人の代議員を獲得しました。

ここでの敗者は何といってもクルーズ氏でしょう。サウスカロライナが南部州ということを考えれば、ここでは勝っておかなければいけない筈でした。前回東部のニューハンプシャーでは右派の主張は受け入れられないと踏んで、早々にサウスカロライナに注力していたと言われていただけにこれは手痛い敗北でしょう。サウスカロライナが予備選で、党員集会とは異なり共和党員でなくても投票できるため一般受けするトランプ氏に有利に働くとはいえ、南部で勝てないようではこの先も厳しくなったと思わざるを得ません。23日のネヴァダの次はいよいよ3月1日のスーパー・チューズデーです。アラバマやジョージアでクルーズ氏が勝てなければ、共和党候補者が早々に二人に絞られる可能性も出てきました。

なおブッシュ氏が今回の結果を受けて、選挙戦から撤退を発表しました。同じ中道路線を行くルビオ氏にとってはこれは良いニュースとなります。

民主党ネヴァダ州で党員集会。

クリントン氏 52.7%

サンダース氏 47.2%

クリントン氏の勝利。ですが、サンダース氏の強みは最もリベラルな東部諸州やカリフォルニアでしょうし、それらの州は大票田でもあります。今回の結果も比較的保守的とされるネヴァダでよく善戦したと捉えることも出来る数字ではあります。