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バーニー・サンダース(2016年大統領選挙) Bernie Sanders: A Biography of the Socialist Running for President by Benjamin Southerland

以前、バーニー・サンダース(2016年大統領選挙) Bernie Sanders for President by Marvinn Land と他の本 - 電子書籍で洋書を読もうというエントリーでサンダース氏には触れたのですが、読んだパンフがあまりにも氏に批判的過ぎて、どういう人だかよく判りませんでした。そこで別のパンフを読んでみる事にしました。

バーニー・サンダース氏はバーモント州選出の上院議員(2期目)です。年齢は74歳でユダヤ系。民主党の指名選挙に出てはいますが、もともとはリバティ・ユニオン・パーティという社会主義のインデペンデント政党から政治生活をスタートさせています。

子供の頃に、父方の親族の多くがナチスユダヤ人迫害にあって殺されています。サンダース氏曰く「ヒトラーという男が1932年の選挙で勝ち、結果5千万人の人が死んだ。小さな子供として私が学んだことは、政治は実際、とても重要なものであるということだ」。高校時代には生徒会長選挙に出て最下位で落選していますが、その時の公約は当時朝鮮戦争で孤児になった韓国人のために奨学金を新設しようというものだったそうです。

シカゴ大学時代に社会主義の勉強会に参加、公民権運動や反戦運動で活動します。大学卒業後、イスラエルに渡りキブツを体験しに行き、帰国後ニューヨークで結婚、ニュースクール大学修士課程に入りますが一年で中退します。そのころ父親が亡くなったので遺産でバーモント州に家を買って様々な職業を転々としながら暮らします。離婚後、フリーランスの編集者となり、リバティ・ユニオン・パーティに参加します。このパンフでは離婚した奥さんとの間に息子が生まれていることになっていますが、wikipediaでは息子さんは別の女性との間に生まれたと書かれていました。

さて、1972年から1976年にかけてサンダース氏はバーモント州知事選挙とバーモント州の上院議員選挙にそれぞれ二度ずつ出馬し、すべて落選しています。まあインデペンデント政党で出て当選するのは至難の業なのですが、4回目にあたるバーモント州知事選挙では6%とインデペンデントとしてはかなり高い得票を得ました。1979年にはリバティ・ユニオン・パーティを抜け、NPOでアメリカの社会主義の政治家ユージン・V・デブスについての教育フィルムなどを作っていたそうです。

1981年にバーモント州最大の都市バーリントンの市長選挙に出馬、票差10票という本当にぎりぎりで当選します。この街でサンダース氏は思わぬ手腕を発揮しました。当時のバーリントンは人口の流入が続き、物価や家賃の高騰が大きな問題でした。サンダース氏は市長として適切な人事を行い、共和党のアイデアなども取り入れて暮らしやすい街づくりに取り組みます。評判の悪かったデベロッパー主体の開発を止めて、ウォーターフロントの再開発をしたり、マイナーリーグの野球チームの誘致なども行いますが、財政はうまく均衡させていました。サンダース氏はその後4期に渡り市長を務めますが、1987年にはアメリカで最も愛される市長の一人にも選ばれ、バーリントンも全米で最も暮らし易い都市の一つに選ばれたこともあるそうです。しかし筋金入りの社会主義者であることは変わりなく、アメリカの外交政策には常に批判的で、ニカラグアの都市と姉妹都市になって当時のサンディニスタ政権と仲良くなったり、キューバへ表敬訪問などをしたりして物議をかもしました。

1988年には下院議員選挙に立候補し、インデペンデントとして40年ぶりに当選します。下院議員としても同僚議員が富裕層を優遇しすぎるとして批判していました。ブッシュ(子)大統領に対してはその外交政策を特に激しく攻撃しています。その後16年の長きに渡って下院議員を続けますが、選挙はほぼ圧勝状態です。2005年には上院に鞍替え、この時に民主党の推薦を受けました。上院ではブッシュ政権時代の税率を延長する法律に反対する、8時間半もの(童話や聖書の朗読ではない)大演説で注目を集めました。

さて、サンダース氏はその長い政治家としてのキャリアの中で一貫して所得格差の拡大や大企業と富裕層の優遇に反対してきました。(下院では州の権限だとして連邦による銃規制法案に反対票を投じたこともありますが)銃規制派で移民にも賛成で、地球温暖化論を支持します。最低賃金の大幅な引き上げ、従業員の権利強化や大学教育の無償化など民主党の中でも異端とされるほどに社会主義的です。

評論家の間では、あまりにアメリカの中道と離れ過ぎていて当選するのは無理だし、本人も自分が当選することよりも、本命のクリントン候補を左に寄せることを狙って出馬しているんじゃないだろうかと言われているらしいです。選挙戦も個人攻撃をしない方針のようで、泥を投げてでも当選を目指すより、選挙を通じて政策や改革を国民に訴えかけるのが大事という姿勢ですね。ヒラリーと民主党を救った社会主義者サンダース | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトという記事もありました。しかし、すぐに個人攻撃やあら探しに堕してしまうアメリカの選挙ではこの方針はむしろ新鮮に響きます。政治家としての立場がずっと一貫しているというのも好印象です。選挙戦は思いのほか順調のようで、じりじりと支持を拡大させています。大口の献金に頼らない草の根献金も2006年のオバマ陣営を上回るペースでお金が集まっているとか。党の予備選が最初に行われることで注目を集めるニューハンプシャー州ではついにクリントン候補を支持率で上回りました。

ところが、クリントン氏の支援者情報、サンダース陣営が不正入手か:朝日新聞デジタルという記事もあります。高潔に戦うんじゃなかったのか、「嘘だと言ってよ、バーニー」って感じですが、よくよく考えてみるとこの情報入手疑惑は何やらきなくさい。コンピュータがどんな風にセッティングされていたのか不明ですが、この手の流出は最初不正アクセスしてきたハッカーや一般人にファイルが渡るものではないでしょうか。なぜ、サンダース陣営だけがファイルを見ることが出来、民主党の選管がソフトの不具合を認めながらサンダース陣営に一方的にペナルティを課すのか疑問です。サンダース陣営は以前からソフトの不具合について報告していたと主張しているとwikipediaにはあります。これが本当なら、サンダース氏では大統領本選に勝てないと踏んだ民主党選管が敢えて不具合を放置し、サンダース陣営を罠に嵌めたと見ることも出来ないではありません。

トランプ旋風で派手な共和党に比べると地味に感じられますが、民主党の指名候補争いもようやく熱を帯びてきた感じがしてきました。