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テッド・クルーズ(2016年大統領選挙)The 2016 Contenders: Ted Cruz by The Washington Post

数日前のニュースで、世論調査の結果ベン・カーソン氏が支持率を落とし後退、かわりに2位に浮上してきたのがテッド・クルーズ氏だとありました。ベン・カーソン氏の後退の理由は経歴についての疑惑が原因とのことでしたが、ベストセラーになった自伝とかに書いた、ちょっと盛った部分をマスコミにほじくり返されたのではないかと思います。立派な人キャラなので、こういった面では弱い。1位は相変わらずトランプ氏です。悪童キャラだし、暴言も失言もあのトランプなら当たり前状態。前に読んだ本ではそのうちに大失言やらかして落ちるんじゃないかと書いてありましたが、全然そんなことなかったです。

さて、カーソン氏に代わって2位に浮上したテッド・クルーズ氏についてのパンフを読んでみました。大統領選挙に関するパンフはアマゾンの無料本を漁ることにしているのですが、楽天がクーポンをくれたこともあって、今回は奮発して有料のものを購入してみました。ワシントンポスト編集なので、やっぱりインデペンデントの著者と違って文章も凝っているし、写真も自社で撮影したものが使えます。ただ、インデペンデントの著者の場合、候補者に対する好き嫌いがはっきりしていて著者の立場が判り易いのと比べ、このパンフの場合、中立な風に書いてあって色々と当てこすりが目立つのが読んでいて気になります。

テッド・クルーズ氏はテキサス州選出の上院議員一期目です。現在44歳と若いです。父親はキューバから移民してきた人で母親はアメリカ人です。二人が石油会社で働いていた時に結婚しました。クルーズ氏の奥さんはゴールドマン・サックスで働いていました。ここまでだと共和党の大企業よりの系統の人かと思いますが、実際はティーパーティキリスト教系の支援を受けています。2012年のテキサス上院議員選挙の共和党指名争いでは共和党エスタブリッシュ系の候補に資金面などで大差を付けられながらも、草の根の支援を受け大逆転勝利を飾ったのだとか。ベン・カーソン氏と党内の支持層が同じで、カーソン氏が落とした分の受け皿にクルーズ氏がなったというのもありそうなことです。

父親の影響で子供の頃からアメリカの憲法の勉強会や自由市場主義経済の勉強会などに参加しました。ちなみに私立高校時代にFelitoからTedに名前を変えました。友達に名前が読みにくいのでからかわれていたそうです。プリンストン大学に進み、その後ハーバードのロースクールに進みました。ディベートがものすごくうまく、大学時代には全米チャンピオンにもなりました。演説がよどみなく滑らかでうっとりするほどだそうです。

大学時代のエピソードで面白かったのは、この人が学生仲間から敬遠されていたという話です。「大学生というのはある意味、自分の道を見つけようとして暗中模索しているものだが、テッドはもうすでに自分を持っていて、しかもそれを人に押し付けようとしてくる。自分は何でも知っているという風で傲慢なんだ」みたいなことが書いてありました。「あまりに鬱陶しいのでランチの時間には彼から離れていた人間が、ディベートの時間には彼の演説を聞きに集まってくる。」ともありました。いい話っぽいのはディベートというのは二人でコンビを組んでやることもあるらしいのですが、クルーズ氏には相方がいませんでした。そこでジャマイカからの移民の息子でプリンストンになじめずに孤立していたデービッド・パントン氏と組むことにします。パントン氏はそれまでディベートなどやったこともありませんでしたが、クルーズ氏が一から教え込み、二人でも全米を制し、パントン氏は全米2位にランクされるまでになりました。高校時代にやんちゃをした時は、共犯の名前を言うように、プリンストン大学の推薦を消すぞと校長から脅されても言わなかったことなどもあるそうです。

クルーズ氏は原理原則を頑固なまでに曲げないということでも知られていて、上院議員として2013年にアメリカがオバマケアに関連して連邦政府の債務上限を引き上げようとしている時に頑強に抵抗したグループの立役者の一人です。この時クルーズ氏は議事進行妨害で21時間19分もの大演説というか「Green Eggs and Ham」という絵本を読んでいただけというかをやらかしました。結果、予算執行が止まり、16日間アメリカの政府機関が部分的に機能停止しました。ちなみに地球温暖化を認めない立場でもあり、バイオエタノールへの補助金を多額に貰っているアイオワの農民の人たちの前で、堂々と「私は補助金には反対する」と言っちゃうような人でもあります。

共和党の中でもエスタブリッシュ系の議員との仲はとても悪く、がちがちのティーパーティ派だそうです。政策的にはオバマケアの撤廃やIRS(内国歳入庁)の廃止など徹底した小さな政府を目指します。インターネットの売上税やネット中立性の問題でも政府の規制には断固反対する立場です。

個人的には大統領選になった時にトランプ氏が当選しそうにないのなら(女性や非白人層に人気がないために)、クルーズ氏はもっとないのではないでしょうか。共和党の中でさえ賛否両論なような気がします。ある意味トランプ氏よりもさらにアウトサイダーです。移民関係では過激ですがトランプ氏の方が政策全般ではずっと穏健ですし、実際に大統領にもしなったらトランプ氏は現実に合わせる可能性があります。実業家ですからね。お客に合わせることもあると思います。クルーズ氏は自分の言ったことをやる人でしょう。議会と大喧嘩しそうな気がします。そういうのもちょっと見てみたいとは思いますが。